補聴器専門店にいる資格を持つ専門家とは

2024.03.07

補聴器を購入するにあたって、補聴器専門店で専門家に相談するべきか迷っていませんか? 資格を持つ専門家に相談する具体的なメリットを知りたいと考えている方もいるでしょう。

今回は、補聴器の専門家である「認定補聴器技能者」ができること、有資格者の見分け方、聴覚に関する他の専門家との違いなどについてわかりやすく解説します。認定補聴器技能者に相談するメリットとあわせて見ていきましょう。

聴覚に関する専門家は2種類

聴覚に関する専門家には「耳鼻咽喉科の医師」「言語聴覚士」がいます。このうち、補聴器専門店にいる補聴器の専門家は言語聴覚士と認定補聴器技能者です。それぞれどのようなことができる専門家であるのか解説します。

1. 言語聴覚士

言語聴覚士(ST)とは、聴力の評価や聴覚リハビリテーションの支援、補聴器のフィッティングなどが可能な専門家です。言語聴覚士は国家資格のため、資格を取得するには法律に定められた教育課程を履修した上で国家試験に合格し、厚生労働大臣による免許の交付を受ける必要があります。
言語聴覚士の専門領域は聴覚の他、言語・音声・呼吸・認知・発達・摂食・嚥下など広範囲にわたります。補聴器の選定や調整に関するサポートはその一環として行われる点が特徴です。

2. 認定補聴器技能者

認定補聴器技能者とは、認定補聴器技能者認定試験に合格し、補聴器の調整や販売に特化した知識・技能を備えた専門家です。公益財団法人テクノエイド協会による認定を受けた人だけが名乗ることができ、補聴器について一定の知識・技能を有していることを証明する資格といえます。

補聴器は、一人ひとりの聞こえに合わせて微細な調整が必要な医療機器です。補聴器の調整や販売は無資格でも行えますが、適切な効果を得るには専門知識が欠かせません。購入に際しては、補聴器に関する豊富な知識を備えた専門家による支援を受けるのが望ましいでしょう。

認定補聴器技能者は補聴器の専門家

認定補聴器技能者について、より詳しく見ていきましょう。認定補聴器技能者ができること、資格を取得するために必要なプロセスや、認定補聴器技能者の判別方法について解説します。

認定補聴器技能者とは

認定補聴器技能者とは、補聴器に関する一定の知識・技能をもち、調整や販売を適切に実施できると認められた人に与えられる資格です。補聴器の取り扱いに特化した唯一の資格であり、資格保有者であることは補聴器の専門家であることを意味しています。
認定補聴器技能者は資格を一度取得すれば永続的に有効ではなく、5年間の有効期間が定められています。有効期間の終了前に知識・技能の向上や業務運営の改善を図るための講座を受講しなければなりません。補聴器の技術や聴力に関する研究は日進月歩です。認定補聴器技能者には、こうした最新の知識・技能を習得することが求められているのです。

認定補聴器技能者は何ができる?

認定補聴器技能者が対応可能なサポートには、以下のものが挙げられます。

  • 聞こえに関する相談
  • フィッティングに必要な聴力の測定
  • 一人ひとりに合った補聴器の選定
  • 補聴器のフィッティング
  • 補聴器の効果測定
  • 装用開始後のケア
  • 公的支援の案内
  • 耳鼻咽喉科医師と連携した対応

単に補聴器の購入をすすめたり、装用に向けた調整を行ったりするだけでなく、聞こえに関する相談や補聴器装用後のケアにも対応してもらえる点が大きな特徴です。耳鼻咽喉科の医師とも連携して対応できるため、医師の診断結果を受けて最適な補聴器を提案してもらえます。

認定補聴器技能者になるには

認定補聴器技能者になるには、4年間の養成課程を経て認定補聴器技能者認定試験に合格する必要があります。養成課程には座学だけでなく、実地研修も含まれているため、補聴器に関するアドバイスや販売、調整の実務を担える知識・技能が身につくのです。また、認定補聴器技能者認定試験では学科試験と実技試験が行われ、知識・技能の両面が問われます。
これらの養成課程を経て試験に合格すると認定補聴器技能者として登録され、認定証書ならびに認定補聴器技能者カードが交付されます。認定補聴器技能者になるためには、補聴器についてじっくりと学び、知識・技能を身につける必要があるのです。

認定補聴器技能者は何ができる?

すべての補聴器専門店に認定補聴器技能者が在籍しているとは限りません。認定補聴器技能者の有資格者かどうかを判別するには、2つの方法があります。
1つは、登録番号が記載された認定補聴器技能者カードを保有しているか確認する方法です。前述の通り、このカードは認定補聴器技能者として登録されている人だけに交付されます。このカードが提示されれば、担当者が間違いなく認定補聴器技能者の資格保有者であると確認できるでしょう。
もう1つの方法として、認定補聴器技能者が在籍している店舗を公益財団法人テクノエイド協会の公式サイトで確認することも可能です。「認定補聴器技能者検索システム」を利用すれば、認定補聴器技能者の氏名や勤務先の店舗名・住所・連絡先などが確認できます。

参考:公益財団法人テクノエイド協会「認定補聴器技能者検索システム」
https://www3.techno-aids.or.jp/general/tech_search.php

認定補聴器技能者に相談するメリット

補聴器について認定補聴器技能者に相談すると、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な3つのメリットを紹介します。

補聴器に関する専門知識が豊富

認定補聴器技能者は補聴器に特化した専門家のため、聞こえや補聴器に関する専門的な知識・技能が備わっています。最新の機種も含めて補聴器に関する知識も豊富であるため、自分に合った補聴器を的確に提案してもらえる点が大きなメリットです。
また、耳鼻咽喉科の医師と連携して対応できる点もメリットの1つです。補聴器は一般的な音響機器とは異なり、医療機器として製造・販売されています。適切な装用効果を得るには微細な調整が不可欠であることから、補聴器に関する専門家のサポートを受けるのが望ましいでしょう。

補聴器フィッティングに特化した聞こえの測定ができる

補聴器のフィッティングに特化した、聞こえの測定ができることもメリットといえます。聴力の測定は、補聴器フッティングのための目的で行われており、補聴器の装用はそのうちの1つです。認定補聴器技能者は、補聴器の装用に必要な聴力の測定方法を習得しています。一人ひとりの聞こえに合わせた補聴器の調整をきめ細かく実施してもらえるのです。
補聴器フィッティングのための聴力測定は言語聴覚士も対応可能ですが、言語聴覚士がカバーする幅広い専門領域の1つである点が認定補聴器技能者と異なります。

最新の知見にもとづくカウンセリングが可能

認定補聴器技能者の資格は、5年ごとに更新する必要があります。更新ごとに補聴器に関する知識・技能の向上や業務運営の改善に向けた講座を受講しなければなりません。専門知識の研鑽に取り組むことにより、最新の知見にもとづくカウンセリングが可能になっているのです。
補聴器を安全に、かつ十分な効果を発揮できるように装用するには、こうした専門知識を備えた担当者に相談することが重要です。的確なカウンセリングを受けたい方は、認定補聴器技能者が在籍している「認定補聴器専門店」で補聴器を購入することをおすすめします。

まとめ

認定補聴器技能者は補聴器に関する専門知識を備え、補聴器の調整や販売を適切に行える専門家です。補聴器の装用効果を十分に得るためにも、認定補聴器技能者によるカウンセリングやサポートを受けられる店舗を選ぶことをおすすめします。今回紹介したポイントを参考に、ぜひご自身に合った補聴器の購入に役立ててください。

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