補聴器の買い替え頻度はどのくらい?寿命(耐用年数)や利用方法を解説
補聴器は一般的にどのくらいの頻度で買い替えるものなのか、一度購入したらずっと使用できるのか気になっていませんか?補聴器は購入金額が高額になるケースもあることから、できるだけ長く使いたいと考えている方もいるでしょう。
今回は、補聴器の買い替え頻度に関する考え方と、長く使うための利用方法について解説します。ぜひ参考にしてください。
補聴器の買い替え頻度の考え方
補聴器は精密な医療機器のため、一度購入したら半永久的に使用できるものではありません。では、どの程度の買い替え頻度を想定しておけばよいのでしょうか。補聴器の一般的な耐用年数・平均的な買い替え頻度に関するデータや、補聴器の保証期間などを参考にしつつ、買い替え頻度の考え方について解説します。
一般的な耐用年数
テクノエイド協会「補装具費支給事務ガイドブック」では、補聴器の耐用年数の目安が5年に設定されています。「想定し得る通常の装用状態で使用した場合に、その補装具が修理不能となるまでの予想年数を目安として定めている」というのが耐用年数に対する同ガイドブックの基本的な考え方です。よって、一般的な補聴器の耐用年数は「5年」が目安と捉えてよいでしょう。
参考:公益財団法人テクノエイド協会「補装具費支給事務ガイドブック」平成26年3月
平均的な買い替え頻度
では、実際のところ補聴器はどの程度の頻度で買い替えられているのでしょうか。Japan Trak2022調査結果によれば、補聴器を買い替えるまでの年数として最も割合が高かったのは1〜3年(48%)、ついで4〜6年(31%)という結果が出ています。買い替えまでの年数の中央値は「4年」です。したがって、今回の調査結果からは、標準的な買い替え頻度としては4年と言えます。通常、買い替えのタイミングは、5年と言われておりましたが、補聴器技術の進歩とともに、短期間で買い替える人が増えてきているのかもしれません。
参考:一般社団法人日本補聴器工業会「Japan Trak2022調査結果」
補聴器の保証期間
補聴器の保証期間はメーカーや製品によって異なるものの、一般的には1〜3年の保証期間が設けられているケースが見られます。また、販売終了から4〜5年程度は修理対応が可能な製品が多いことから、メーカーとしては少なくとも購入から5年程度は補聴器を使用することを想定していると考えてよいでしょう。別の見方をすると、修理対応が可能な期間が過ぎてから補聴器が故障した場合には、買い替えざるを得ない可能性が高くなります。
補聴器の買い替えを検討するタイミング
補聴器の買い替えを検討したほうが良いタイミングとしては、いくつかのパターンが想定されます。
- 補聴器が故障して修理が困難な場合
- 修理対応が可能な期間が過ぎてから故障した場合
- 聞こえの状態が変化して補聴器の調整範囲と合わなくなった場合
このように、補聴器は耐用年数を過ぎたら必ず買い替えが必要になるわけではありません。反対に、一般的な耐用年数とされる5年が経過する前であっても、聞こえの状態が変化して補聴器の調整範囲では対応できないようなら買い替えたほうがよいこともあります。補聴器を買い替えるタイミングは、使用状況や装用する方の聞こえなどによって変動するのです。
補聴器を長く使うための利用方法
補聴器をどれだけ長く使用できるかは、補聴器の使い方によっても変わります。補聴器をできるだけ長く快適に使用するために、押さえておきたいポイントをまとめました。
1. 液体(水・汗・湿気)から保護する
補聴器は精密機器のため、液体が内部に入り込むと故障の原因となります。日常生活の中で補聴器が液体に触れることがないよう、細心の注意を払って扱いましょう。
たとえば、洗顔時や雨天時、汗をかきやすい夏場には装用中に補聴器内部へ水や汗が侵入しないように気をつけてください。また、食事の際に補聴器を外してテーブルの上に置いたままにしていると、飲み物をこぼしてしまうおそれがあります。冬場には屋外と室内での温度差による結露にも注意が必要です。補聴器を使用しない時には専用のケースに収納するよう習慣づけることをおすすめします。
2. こまめに掃除をする
汚れや埃・ゴミなども補聴器が故障する原因となる可能性があります。耳垢がマイクやスピーカー部分に付着したままにならないよう、こまめに拭き取りましょう。
補聴器の形状によっては本体が小型のため、掃除の際にも扱いには注意が必要です。補聴器を拭いている時に誤って落とさないよう、テーブルの上など安全な場所で掃除をしてください。手を洗って清潔な状態にしてから補聴器に触れるようにし、補聴器を外した際には毎回汚れを拭き取ることをおすすめします。
3. 高温になる場所に置かない
高温になる場所に補聴器を放置していると、故障の原因になりがちです。夏場の車内や冬場のストーブ前など、高温になりやすい場所は避けて保管しましょう。自宅では保管場所を決めておき、補聴器を外したらケースに入れた上で所定の場所に保管することが大切です。
一般的に、人が暑いと感じるほど高温の場所は、補聴器にとっても良い環境とはいえません。外出時には補聴器を装用しない時にも車内などに置いたままにせず、常に持ち歩くほうが無難です。
4. 衝撃を与えない
補聴器は衝撃に弱いため、落としたり踏んだりしないよう細心の注意を払って扱ってください。テーブルの上に置きっぱなしにしたり、ケースに入れずに洋服のポケットなどに直接しまったりするのは避けましょう。
就寝時にも、補聴器を外して枕元に置いたままにしていると、自分や家族が誤って踏んでしまうこともあり得ます。補聴器を置く場所・保管する場所には常に気を配ることが大切です。
5. 購入した販売店でメンテナンスを受ける
補聴器は購入した販売店で定期的に見てもらい、自分で行う掃除では行き届かない細部のメンテナンスを受けることをおすすめします。できれば3ヵ月に1回はメンテナンスを受けることにより、補聴器が故障するリスクを抑えられるでしょう。
販売店で実施するメンテナンスでは、サビや劣化の進行を抑えるための補聴器内部を乾燥や、耳垢フィルターなどの交換といった作業を実施します。こうしたメンテナンスを定期的に受けることで、補聴器本来の音質を維持しやすくなることも大きなメリットです。
まとめ
補聴器の耐用年数は一般的には5年、最新調査結果での買い替えまでの平均的な年数は4年となっていますが、実際にはこれよりも短い期間で買い替えが必要になるケースも想定されます。故障や不具合をできるだけ避けるためにも、補聴器の正しい取り扱い方を身につけることが大切です。今回紹介したポイントや注意点を参考に、ぜひ補聴器を快適に使用してください。